PAIRとは 

Sam Crosby, Senior director, product
アドレッサビリティをとりまく環境は複雑で、常に進化しています。比較的新しいアドレッサビリティソリューションの一つ「PAIR(Publisher Advertiser Identity Reconciliation)」についてお話しします。PAIRは、クリーンルームを活用してメディア企業とマーケター間のファーストパーティデータを一致させ、ウェブからストリーミングTVまで全てのチャネルにおいて、パーソナライズされたプライバシー重視の広告を可能にします。Index Exchange 製品担当シニアディレクター サム・クロスビー(Sam Crosby)が、PAIRの仕組みについて詳しく解説します。

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ファーストパーティデータのソリューション「PAIR」について

サードパーティクッキーの廃止が近づくつれ、私たちの業界では、向上したプライバシー重視のアプローチを実施する機会が与えられています。IDベースと非IDベースの様々なソリューションがすでに出現しています。「PAIR(P:パブリッシャー、A:広告主、I:識別子、R:照合)」は、アドレッサビリティをとりまく環境で比較的新しく導入されたソリューションです。  

PAIRは、GoogleのDV360 DSPで初めて採用され、クリーンルームを活用してメディア企業とマーケター間のファーストパーティデータを一致させるソリューションです。最近では、Googleは、IAB Tech Labと協働し、このプロトコルをオープンソース化し(英語)、広告業界で幅広く利用できるようにすると発表しました。   

PAIRは、クリーンルームを活用してメディア企業とマーケター間のファーストパーティデータを一致させ、ウェブからストリーミングTVまで全てのチャネルにおいて、パーソナライズされたプライバシー重視の広告を可能にします。ここでは、メディア企業から入手可能な決定論的IDを使用します。   

既知のオーディエンス、またはファーストパーティデータが利用可能な  オーディエンスにリーチすることを目的としており、 マーケターが、過去の購入者のような関心意欲が高いオーディエンスにエンゲージする方法を提供します。つまり、消費者は既につながりがあったり、情報を共有しているブランドからの広告しか見ないことになります。   

PAIRは、メディア企業やマーケターからのファーストパーティデータに基づく決定論的認証IDソリューションであるため、クッキー廃止後の世界では、その用途はさらに広がるでしょう。  

PAIRの仕組み  

文字通り、メディア企業とマーケターがオーディエンスをペア(一致)できるように開発されています。メディア企業が保有する認証されたサービス加入者リストと、マーケターが保有する顧客リストを例に考えてみます。この2つのオーディエンスリストは暗号化され、クリーンルームを使って照合することができます。  

例えば、私がストリーミング・プラットフォームにログインし、新作映画を観ているとします。 加入者である私のアカウントには、プラットフォームと共有することに同意したため、メールアドレスや電話番号などのデータが含まれています。また、私がお気に入りの靴ブランドのリピーターで、そのブランドのメールリストに登録しているとしましょう。  

PAIRを使えば、私がこのストリーミング・プラットフォームで映画を観ている間に、その靴ブランドは、私を特定できる情報(PII)を公開することなく、またクッキーやデバイスIDに依存することなく、新しいスニーカーの広告を配信できます。  

PAIRは、これらのファーストパーティ識別子やハッシュIDを一切使用せず、例えば「ID123」として私を識別しません。その代わりに何百、何千、何百万人もの顧客のビッグデータが存在し「この一致したIDは、キャンペーンのターゲットに合致します」というように確認できます。  

ワークフローを詳しく見てみましょう。  

  1. 先ずメディア企業は、データを照合したいマーケターと連携します。  
  1. オーディエンスデータを結びつけるために、メディア企業とマーケターはクリーンルームを活用できます。クリーンルームは、raw PII を取り込み安全に暗号化されたデータを(この場合はメディア企業、マーケター、DSPに)出力する、サードパーティのプラットフォームです。クリーンルームは、全てのデータの安全性を確保し、暗号化されたデータのみをDSPと共有し、照合を行います。  
  1. クリーンルームの処理には、3つ暗号化キーを使います。マーケターキー、パブリッシャーキー、そして二者間の共有キーを作成します。これらのキーは、マーケターとメディア企業の関係ごとに一意のキーを必要とし、いかなる当事者もユーザーを逆暗号化したり、特定したりすることはできません。また、各事業者は特定の関係のデータを独自に暗号化するため、このデータは、この一致状況以外では使用できません。  
  1. 暗号化と照合の後、マーケターとメディア企業は、それぞれのファーストパーティ・オーディエンスリストの一致率データを受け取ります。ユーザーレベルの一致や個人識別情報がSSPやDSPに返送されたり、共有されたりすることはありません。   
  1. メディア企業は暗号化されたリストをSSPに渡し、DSPへの入札リクエストに含めることができます。   
  1. 同時に、マーケターは暗号化されたリストをDSPに渡し、アップロードされたファーストパーティのマーケターデータをメディア企業のファーストパーティデータと入札リクエストを一致させることができます。  
  1. インプレッションの機会が発生すると、SSPは広告オークションを実行し、落札された広告が消費者に表示されます

PAIRが今後もたらす可能性 

PAIRにより、マーケターがプライバシーを保護しながら、決定論的一致とパーソナライゼーションの価値を得られるようになります。デバイスを越えて機能するため、ストリーミングTVにおけるアドレッサビリティに大きな可能性が生まれます。ストリーミングTVでは、急速に普及が進むでしょう。  

長期的には、新しい、より厳しいプライバシー規制やプラットフォームの変更によって、現在利用可能な、認証IDベースのソリューションのようなデータプールに基づくIDが利用できなくなる可能性があります。PAIRでは、マーケターとメディア企業は、データの所有権を保持し、暗号化されたデータはその関係以外では使用できません。データプールは禁止されています。   

そのため、PAIRは今後各地域で導入されるより厳しいプライバシー規制にも対応できる可能性があると言えます。さらに、IAB Tech LabがPAIRをオープンな業界標準へと進化させるにつれて、規模は拡大する一方です。  

つまり、PAIRは、プライバシーに配慮した方法を通じて、確定的でパーソナライズされた広告の価値をすべて維持することを目指しています。 

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